介護・福祉サービスの利用契約書の全体像:書類の三層と揃え方

介護・障害福祉の利用契約は、運営規程、重要事項説明書、利用契約書、料金表、同意書が重なって成り立ちます。どの書類がどの条文に基づくのかを区別し、書類どうしを食い違わせないことが、書類を整えるときの出発点です。

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重要事項説明書を渡したから契約書は要らない、契約書があるから説明書は要らない、とはなりません。二つの書類は、根拠の条文も役割も違います。

このページの要点

  • 運営規程、重要事項説明書、利用契約書の三層で考え、金額や窓口は一か所に書いてほかは参照させる。
  • 説明・同意・書面交付の根拠は、介護保険、障害福祉、社会福祉事業、有料老人ホームで別々の条文にある。
  • 定型の書式を使うときは、民法の定型約款の規律と消費者契約法10条を意識して、個別の合意の部分と共通条項を分ける。
  • 保険給付の対象になる取決めと、保険外の取決めは、書類も料金表も分ける。

介護・障害福祉のサービスの利用契約は、契約書一枚では完結しません。指定を受けた事業所では、事業所ごとに定める運営規程、そこから作る重要事項説明書、個別の権利義務を決める利用契約書、料金表、個人情報の同意書といった複数の書類が重なって、一つの契約関係を形づくります。書類を揃えるときの要点は三つです。第一に、どの書類がどの条文に基づく書類なのかを区別すること。第二に、書類どうしの内容を食い違わせないこと。第三に、保険給付の対象になる取決めと、保険外の取決めを混ぜないことです。

このページは、個々の条項の書き方に入る前の「地図」です。書類の種類、サービスごとの根拠の違い、定型の書式をどう扱うか、書類を整える順序を整理します。身体拘束、事故と賠償、解除、個人情報といった個別の論点は、サイト内の各ページで扱います。なお、医療や介護の専門的な判断(ケアの内容が適切か、拘束が必要か、など)には立ち入りません。書面の作り方と条文の読み方に絞った解説です。

書類は運営規程・重要事項説明書・利用契約書の三層で考える

指定を受けた事業所は、事業所ごとに「運営規程」を定めておかなければなりません。運営規程とは、事業の目的と運営の方針、従業者の職種・員数・職務の内容、営業日と営業時間、サービスの内容と利用料その他の費用の額、通常の事業の実施地域、緊急時等における対応方法、虐待の防止のための措置に関する事項など、事業の運営についての重要事項を定めた規程です(たとえば訪問介護では、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準29条〔以下「居宅基準」〕が項目を列挙しています)。事業所の「内部の取決め」であり、同時に、利用を考える人にとっての選択の材料にもなります。

次に、利用の申込みがあったとき、事業所は、運営規程の概要、従業者の勤務の体制、その他サービスの選択に資する重要事項を記した文書を交付して説明し、サービスの提供の開始について同意を得なければなりません(居宅基準8条1項)。この文書が重要事項説明書です。運営規程を土台にして、利用を申し込む人に向けて、読みやすく整理し直したものにあたります。

そして、サービスの内容、利用料の支払い、契約の終了、損害が出たときの扱い、個人情報の取扱いといった、事業所と利用者の間の個別の権利義務を定めるのが、利用契約書です。三つの書類は、広く決めるものから個別の合意へと重なります。上の層と下の層で内容が食い違えば、利用者にも事業所にも「どちらが正しいのか」が分からなくなります。

書類の重なり(広く決めるものから個別の合意へ)

  1. 法令・条例(運営基準)事業所が守るべき最低限の基準。国の省令を参酌・従うべき基準として、都道府県等の条例が定めている(介護保険法74条、障害者総合支援法43条)
  2. 運営規程事業所ごとに定める内部の規程。営業日時、利用料その他の費用、実施地域、緊急時の対応、虐待防止などを定める
  3. 重要事項説明書運営規程の概要・勤務体制・苦情窓口などを、利用申込者に向けて文書で示す書類。交付して説明し、同意を得る
  4. 利用契約書サービスの内容、支払い、解除、損害、個人情報などの個別の権利義務を決める。署名または記名押印で成立を残す
  5. 料金表・同意書・緊急連絡先票金額や個別の同意事項を切り出した付属書類。契約書の別紙として位置づけ、本文との優先関係を決めておく

運営基準は国の省令(厚生労働省令)として公布されていますが、実際の義務の根拠は、都道府県等が国の基準をもとに定めた条例にあります。省令と条例の文言が完全に同じとは限らないため、事業所の所在地の条例で確認する必要があります。

サービスの種類によって、説明と書面交付の根拠は別々にある

「重要事項説明書」という言葉は共通でも、根拠の条文はサービスごとに違います。介護保険の指定居宅サービスは居宅基準、特別養護老人ホームは指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(以下「特養基準」)、障害福祉サービスは指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(以下「障害基準」)に、それぞれ置かれています。さらに、社会福祉事業に当たるサービスには、社会福祉法の規定も重なります。

基準・法令説明・同意・書面交付についての主な定め

居宅基準8条1項(訪問介護の例)
提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制その他の重要事項を記した文書を交付して説明し、提供の開始について利用申込者の同意を得る。他の居宅サービスにも同様の規定がある
特養基準4条1項
入所申込者又はその家族に対し、運営規程の概要、従業者の勤務の体制その他の重要事項を記した文書を交付して説明し、提供の開始について入所申込者の同意を得る
居宅基準178条1項(特定施設入居者生活介護)
入居申込者又はその家族に対し、重要事項を記した文書を交付して説明し、入居と特定施設入居者生活介護の提供に関する契約を文書により締結する
障害基準9条1項(居宅介護の例)
利用申込者に係る障害の特性に応じた適切な配慮をしつつ、重要事項を記した文書を交付して説明し、提供の開始について同意を得る
社会福祉法76条
社会福祉事業の経営者は、利用を希望する者から申込みがあったとき、契約の内容及びその履行に関する事項について説明するよう努める(努力義務)
社会福祉法77条1項
福祉サービスの利用契約が成立したときは、遅滞なく、事業者の名称・主たる事務所の所在地、サービスの内容、利用者が支払うべき額に関する事項などを記載した書面を交付する(厚生労働省令で定める契約は除く)
老人福祉法29条7項
有料老人ホームの設置者は、入居する者又は入居しようとする者に対し、介護等の内容その他の事項に関する情報を開示する

条文は訪問介護や居宅介護を例にしています。実際には、提供するサービスの種類ごとの基準で、同じ趣旨の規定の条番号を確認してください。

ここで押さえておきたい違いが二つあります。一つは、説明の相手と同意の相手が違うことです。居宅基準8条1項は、文書を交付して説明する相手を「利用申込者又はその家族」とし、同意を得る相手は「利用申込者」としています。この構造は、本人が署名できないときの署名欄の設計にそのまま影響します(詳しくは契約者は誰かのページで扱います)。もう一つは、特定施設入居者生活介護では、契約を「文書により」締結することが条文上明記されている点です(居宅基準178条1項)。同意を口頭や別の記録で済ませる余地は、ほかのサービスよりも狭くなります。

社会福祉法77条の書面は、運営基準の重要事項説明書とは別の趣旨の書面です。重要事項説明書は申込みの段階の説明のための文書、77条の書面は契約が成立したときに利用者へ渡す書面です。老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業、障害福祉サービス事業などは第二種社会福祉事業にあたります(社会福祉法2条3項)。この場合、施行規則16条2項が、77条1項4号に基づく記載事項(サービスの提供開始年月日、苦情を受け付けるための窓口など)を定めています。実務では、契約書にこれらの事項を盛り込んで、契約書の写しの交付で77条の書面を兼ねる形が多く見られますが、記載事項を満たしているかは一つずつ確かめる必要があります。

書類セットを一覧にする

利用の開始時に利用者へ渡す書類は、おおむね次の組合せです。名前は事業所ごとに違っても、役割は変わりません。役割が重なる書類があれば、どちらを正とするのかを決めておきます。

書類セットの役割(一般的な例)

書類主な役割根拠・位置づけ確認すること
運営規程事業の運営についての重要事項を定める内部の規程居宅基準29条など各サービスの基準営業日時・利用料・実施地域・緊急時の対応・虐待防止が、説明書と同じか
重要事項説明書サービスの選択に資する重要事項を文書で示す居宅基準8条、特養基準4条、障害基準9条など交付し説明し、同意を得た記録が残っているか
利用契約書個別の権利義務を定める民法の契約。特定施設は文書による締結が条文上必要(居宅基準178条)署名欄が本人・代理人・立会人で整理されているか
料金表金額の内訳を示す居宅基準20条など、費用の説明と同意保険給付の自己負担、保険外の費用、実費が区分されているか
個人情報の同意書利用目的と第三者提供などの同意居宅基準33条3項、個人情報保護法利用者本人分と家族分が分かれているか
緊急連絡先票緊急時の連絡先の記録運営規程の「緊急時等における対応方法」連絡先の本人同意と、変更時の手続が書かれているか
苦情窓口の案内苦情の受付窓口を知らせる居宅基準36条、社会福祉法の運営適正化委員会など事業所の窓口と、市町村・国民健康保険団体連合会の窓口が書かれているか

書類を増やせば安心というわけではありません。書類が多いほど、同じ事項(利用料、解除、個人情報など)が複数の書類に書かれ、食い違いが生まれる機会も増えます。同じ事項を書く場所は一か所に決め、ほかの書類には「契約書第○条による」と参照させる方法が、見直しの手間を減らします。

運営規程・重要事項説明書・契約書の食い違いを防ぐ

食い違いは、書類を作った時期がずれることで起きます。運営規程を変更して届出をしたのに、重要事項説明書だけが古いまま、という状態です。事業所は、運営規程の変更があれば、利用者に渡す書類を同時に更新する仕組みをもっておく必要があります。表現の違い自体は問題になりませんが、金額・日数・時間帯・窓口の連絡先など「数字と名称」は、書類間で一致させます。

書き方の例(一般的な例) 書類間の食い違いを防ぐ書き方

利用料の定め

よくある書き方契約書にも重要事項説明書にも、それぞれ料金を書いておく。改定時にどちらかを直し忘れる
整えた書き方金額は料金表にだけ書き、契約書と重要事項説明書は「料金表による」とする。改定のときは料金表だけを差し替える

理由金額が複数の書類にあると、改定のたびに全部を直す必要があり、直し漏れが食い違いの原因になる

優先関係

よくある書き方「本契約書と付属書類が矛盾するときは、事業者の定めるところによる」とだけ書く
整えた書き方「契約書本文、重要事項説明書、料金表の順に優先する。ただし、利用者に有利な定めがあるときはその定めによる」など、順位と例外を書く

理由事業者に一方的に有利な優先関係は、利用者の利益を一方的に害するものとして、消費者契約法10条の問題になりうる

説明を受けた旨

よくある書き方契約書の末尾に「重要事項説明書の交付を受けた」とのみ印字している
整えた書き方重要事項説明書の交付・説明の日付と説明者を、同意欄とともに記録する。電磁的方法で提供した場合は、その旨も記録する

理由条文は、交付して説明し同意を得ることを求めている。いつ、誰が、何を説明したかを後から確かめられる形にしておく

確認書類が揃ったあと、公開する前に確かめる問い

  1. 運営規程の変更があったとき、どの書類を、誰が、いつまでに更新するか決めているか。

    更新の担当と期限が決まっていないと、説明書だけが古い状態が続く。変更の届出と書類の差替えを一つの手順にしておく

  2. 契約書・説明書・料金表のそれぞれに、同じ金額や期間を二重に書いていないか。

    二重に書いた数字は、改定時に必ず食い違う。一か所に書いて、他からは参照させる

  3. 契約書と別に「規約」や「利用規則」を作っていないか。作っているなら優先関係を決めているか。

    複数の規約があると、どれが正かが曖昧になる。優先関係と、変更の手続を決めておく

定型の書式を使うことと、個別の合意の関係

事業所が使う利用契約書は、多くの利用者に同じ書式を使うことがほとんどです。民法は、ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引で、その内容の全部または一部が画一的であることが双方にとって合理的なものを「定型取引」とし、その契約の内容とするために準備された条項の総体を「定型約款」としています(民法548条の2第1項)。定型約款に当たる場合、定型取引を行うことの合意をした者は、一定の場合に、個別の条項についても合意をしたものとみなされます。

ただし、介護・福祉サービスの利用契約が全体として定型約款に当たるのか、それとも個別に合意した契約なのかは、一律には言えません。利用者ごとに、サービスの内容、利用日時、回数、料金の組合せが異なる部分は、画一的とは言えず、個別の合意と見るのが自然です。一方、解除、損害の扱い、個人情報の取扱い、苦情窓口のような共通条項は、画一的な部分として、定型約款に当たる可能性があります。当たるかどうかの判断は、取引の態様に応じて個別に行うことになり、このページで断定することはできません。

定型約款に当たる部分があるとき、事業所は次のことを意識しておく必要があります。第一に、相手方の権利を制限し、または義務を加重する条項で、取引の態様や実情、社会通念に照らして信義誠実の原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものは、合意をしなかったものとみなされます(民法548条の2第2項)。第二に、定型取引の合意の前、または合意の後相当の期間内に相手方から請求があれば、遅滞なく、相当な方法でその内容を示さなければなりません(民法548条の3第1項)。第三に、後から条項を変更するときは、相手方の一般の利益に適合する場合か、契約をした目的に反せず変更の必要性や内容の相当性などに照らして合理的な場合に限られ、効力発生時期を定めて周知する必要があります(民法548条の4)。

利用者が個人で、事業として契約するのではない場合、消費者契約法も重なります。消費者の権利を制限し、または義務を加重する条項で、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効とされます(消費者契約法10条)。免責や解除の個別の条項については、事故対応と損害賠償条項、契約解除・利用停止・提供拒否のページで扱います。

保険内の契約書に、保険外の取決めを混ぜない

介護保険の指定を受けた事業所が、保険給付の対象になるサービスと、保険給付の対象にならないサービスを組み合わせて提供することがあります。このとき、同じ契約書の中で一括して扱うと、どの料金がどの根拠で請求されるものなのかが利用者に分かりにくくなります。保険給付の対象となるサービスでは、利用料の定め方、受け取れる費用の範囲、説明と同意の手順が運営基準で決まっているためです(利用料の区分は利用料と費用の書き方のページで扱います)。

書類の分け方としては、保険内の契約書と、保険外の契約書(または別紙の合意書)を別にして、料金表も別にする方法があります。一つの書面にまとめるなら、保険給付の対象になる部分と、ならない部分を、章や条を分けて明確にし、後者には「保険給付の対象ではない」ことを、利用者が気づきやすい位置に書きます。

書き方の例保険給付の対象外のサービスについての条(書き方の例・一般的な例)

  1. 前条までの定めは、介護保険の給付の対象となるサービスについて適用します。
  2. 事業者が、利用者の希望に基づき、介護保険の給付の対象とならないサービス(以下「保険外サービス」といいます。)を提供する場合には、サービスの内容、料金、利用の条件を、保険外サービスの別紙に定め、利用者の同意を得たうえで提供します。
  3. 保険外サービスの料金は、介護保険の給付の対象となるサービスの料金とは別の料金表により請求し、請求書でも区分して表示します。
  4. 保険外サービスの利用の有無は、介護保険の給付の対象となるサービスの提供に影響しません。

第4項は、保険外サービスを利用しないことを理由に保険内のサービスを断る、といった運用を避けるための確認の条文です。提供拒否の禁止の考え方は、解除・提供拒否のページで扱います。

書類を整える順序

新しく開設する場合も、書類を見直す場合も、順序は同じです。上の層から順に確定し、下の層に反映させます。契約書から書き始めると、運営規程や説明書との食い違いが後から見つかり、やり直しになりがちです。

書類を整える順序

  1. 基準の確認提供するサービスごとに、国の基準と事業所の所在地の条例で、説明・同意・書面交付・費用・記録の義務を確かめる
  2. 運営規程の確定営業日時、利用料その他の費用、実施地域、緊急時の対応、虐待防止などの項目を確定し、必要な届出を済ませる
  3. 重要事項説明書の作成運営規程の概要、勤務体制、苦情窓口などを、利用申込者が読める形で作る。掲示や閲覧の備え付けも同時に整える
  4. 利用契約書と別紙の作成個別の権利義務を契約書に、金額を料金表に、個別の同意を同意書に分けて書く。参照関係を揃える
  5. 運用の記録様式交付と説明の日付、説明者、同意の方法、代理人の確認を記録する様式を決める
  6. 定期的な見直し運営規程・料金・法令の変更があったとき、書類を同時に更新する担当と期限を決める

公開・使用前のチェックリスト

  • サービスの種類ごとに、説明・同意・書面交付の根拠の条文を確認している
  • 運営規程、重要事項説明書、契約書、料金表の金額・時間・窓口が一致している
  • 書類間の優先関係と、変更したときの手続を決めている
  • 保険給付の対象になる取決めと、ならない取決めを区分している
  • 本人・代理人・家族の署名欄と、同意の記録の様式を決めている
  • 重要事項の掲示(又は備え付け)とウェブサイトへの掲載を整えている(居宅基準32条)

起きがちなこと

書類の体系についての誤りは、一つひとつは小さくても、争いになったときにまとめて表に出ます。次のような点が典型です。なお、同意を残す方法や電子での提供は電子契約・電子同意、トラブルが起きたときの整理は契約トラブルとよくある質問のページで取り上げます。

起きがちなこと

  • 運営規程を変更したのに、重要事項説明書と契約書がそのままで、数字や窓口が食い違っている
  • 重要事項説明書を渡しただけで、説明と同意の記録(日付・説明者・方法)が残っていない
  • 契約書に「別途定める規則による」と書きながら、その規則を利用者に渡していない
  • 保険外の料金を契約書の本文に紛れ込ませ、請求書でも区分していない
  • 本人以外の署名があるのに、誰の立場で署名したのか(代理人・立会人・連帯して支払う人)が書かれていない
  • 社会福祉法の契約成立時の書面の記載事項を確かめず、契約書の写しの交付だけで済ませている

よくあるご質問

利用契約書と重要事項説明書は、一つの書類にまとめてもよいですか。

条文が求めているのは、重要事項を記した文書を交付して説明し、同意を得ることです。そのため、契約書と一体の書類にしても条文違反とは限りません。ただし、一体にする場合でも、説明の日付と説明者、同意を得た記録が分かるようにし、契約書の部分と説明の部分で署名欄を分けておくと、後から確かめやすくなります。特定施設入居者生活介護では、重要事項を記した文書の交付・説明とは別に、契約を文書により締結することが求められています(居宅基準178条1項)。

利用契約書は、必ず作らなければなりませんか。

訪問介護などの運営基準(居宅基準8条1項)は、重要事項を記した文書を交付して説明し、同意を得ることを求めています。契約書の作成そのものを条文が明示しているのは、特定施設入居者生活介護(居宅基準178条1項)のようなサービスです。ただし、社会福祉事業に当たるサービスでは、契約が成立したときに書面を交付することが社会福祉法77条に定められています。個別の権利義務を残すという意味でも、契約書または同等の書面を作るのが一般的です。

重要事項説明書を渡してあれば、契約書に同じことを書かなくてもよいですか。

重要事項説明書は、運営規程の概要や勤務体制など、サービスを選ぶための情報を示す文書です。解除の条件、損害が出たときの扱い、個人情報の利用目的の同意など、個別の権利義務は契約書に書いてはじめて当事者の合意になります。役割が違うので、片方でもう片方を代えることはできません。二つの書類が食い違っていたときの優先関係を、契約書に書いておくと、争いになったときの混乱を減らせます。

保険外のサービスの料金も、同じ契約書に書いてよいですか。

同じ書面に書くこと自体は可能です。ただし、保険給付の対象になる部分と、ならない部分を、条や章を分けて区別し、料金表も別にして、保険給付の対象ではないことを利用者が気づける位置に書く必要があります。請求書でも区分して表示すると、どの費用が何に対するものかが分かりやすくなります。詳しくは「利用料と費用の書き方」のページで扱います。

別に「利用規約」や「利用規則」を作る場合、契約書との関係で気をつけることは何ですか。

規約や規則が定型約款に当たるときは、民法548条の2から548条の4の規律が及びます。利用者に不当に不利な条項は合意をしなかったものとみなされることがあり(548条の2第2項)、相手方の請求があれば内容を示す必要があり(548条の3)、変更は要件を満たしたうえで効力発生時期を定めて周知する必要があります(548条の4)。契約書と規約の間で、どちらが優先するかを契約書に書いておくこともあわせて必要です。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の契約への当てはめは、サービスの種類、契約書の文言、利用者の状況によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。医療や介護の専門的な判断(身体拘束の要否、ケアの内容の適否など)には立ち入りません。条文は e-Gov 法令検索(法令API)で確認した現行のものに基づき、まだ施行されていない改正は現行の内容として扱っていません。参考: e-Gov法令検索 / 厚生労働省 / 消費者庁 / 個人情報保護委員会

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