このページの要点
- 利用料の未払いは、請求内訳の確認、書面の催告、記録を踏む。遅延損害金は年14.6%を超える部分が無効
- 家族の意見が割れたときは、契約の当事者・本人の意思・費用負担者を分けて考え、署名欄の設計に立ち返る
- 苦情の出し先は、事業所の窓口のほか、市町村、国民健康保険団体連合会、運営適正化委員会がある
- 運営規程・料金・法令の変更時は書類を見直し、定型約款の変更は民法548条の4の手続(効力発生時期の設定と周知)を踏む
介護・福祉サービスの利用契約で実際に起きるトラブルは、契約書の難しい条項をめぐるものよりも、日常の出来事から始まるものが多くあります。利用料が払われない、家族の間で意見が割れる、事業所を変えたい、入院や不在で予定どおりにサービスが使えない、苦情をどこに出せばよいか分からない、契約書にない事態が起きた、といった場面です。このページは、そうした場面ごとに、契約書や運営基準のどこを見ればよいかを、よくある質問の形で整理します。詳しい条文の読み方は、サイト内の各ページに案内します。
結論を先に挙げると、次の五点です。第一に、利用料の未払いには、催告、支払方法の相談、記録を踏み、遅延損害金は消費者契約法の上限(年14.6%)を超えないようにする。第二に、家族の意見が割れたときは、まず「契約者は誰か」「本人の意思はどうか」「費用を負担するのは誰か」を分けて考える。第三に、事業所の変更は、利用者からの解約と、新旧の事業所の間の引継ぎに分けて整理する。第四に、苦情は事業所の窓口で終わらず、市町村、国民健康保険団体連合会、運営適正化委員会といった外部の窓口がある。第五に、運営規程や料金、法令が変わったときは、書類の見直しと、定型約款の変更の手続(民法548条の4)が必要になる。医療や介護の専門的な判断には立ち入りません。
利用料が払われないとき:催告・提供の継続・遅延損害金
利用料の未払いは、事業所にとって最も現実的な悩みの一つです。契約書に「滞納したらサービスを停止し、契約を解除する」と書いてあっても、すぐにその条項を使ってよいとは限りません。順に整理します。
まず、未払いの利用料の内容を確かめます。介護保険の指定サービスでは、事業者が受け取る利用料のうち、保険給付の部分は市町村(実際には国民健康保険団体連合会)から支払われ、利用者から受け取るのは自己負担分と保険外の費用です(居宅基準20条)。未払いになっているのが、自己負担分なのか、保険外の費用なのか、請求書の内訳が利用者に伝わっているかを、先に確認します。請求の内訳が不明確だと、利用者や家族が支払う理由を理解できず、行き違いの原因になります。費用の区分の考え方は利用料と費用の書き方のページで整理しています。
次に、催告です。未払いを理由に契約を解除するには、民法の基本形として、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないことが必要です(民法541条)。その期間経過後の不履行が契約と取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、解除できません。催告の内容と日付は、書面で残します。口頭で伝えただけでは、後で言った言わないの争いになります。
三つ目は、サービスの提供をどうするかです。運営基準は、正当な理由なくサービスの提供を拒むことを禁じています(居宅基準9条)。未払いが「正当な理由」になるかどうかは、事情によります。未払いの金額、期間、利用者の状況、支払の見込み、相談の経緯などを総合して判断することになり、契約書に「滞納したら直ちに停止」と書いてあるだけでは足りません。停止や解除に進む場合の手順は、契約解除・利用停止・提供拒否のページで整理しています。
四つ目は、遅延損害金です。契約書に遅延損害金を定めておくこと自体は一般的ですが、消費者契約法9条1項2号は、消費者が支払期日までに支払わない場合の損害賠償の額の予定や違約金を定める条項について、支払期日の翌日から支払をする日までの期間、その日数に応じて、支払うべき額(すでに支払われた額を除く)に年14.6パーセントの割合を乗じて計算した額を超える部分を無効としています。契約書に遅延損害金の定めがない場合は、民法419条により、損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定められます(法定利率は民法404条により、3年を一期として見直されます)。いずれの場合も、遅延損害金を請求するかどうか、いつから請求するかは、事業所の運用方針として決めておきます。
利用料が払われないときの対応の流れ(一般的な例)
- 請求内訳の確認未払いの内容(保険給付の自己負担、保険外の費用、交通費など)と、請求書・領収書が利用者に届いているかを確認する
- 連絡と事情の聞き取り支払いが遅れている理由(失念、口座の残高、家族間の行き違い、経済的な事情)を聞き、支払方法の変更や分割の相談に応じる
- 書面での催告支払期限を定め、未払いの内容を示した書面で催告する。催告の日付と内容を記録する
- 関係者との共有居宅介護支援事業者、相談支援事業者、家族など、利用者の支援に関わる人に状況を伝える(個人情報の取扱いは個人情報と同意書のページ参照)
- サービスの扱いの判断提供を続けるか、一時停止するか、解除するかを、契約書の条項と運営基準の提供拒否の禁止を踏まえて判断する
- 終了する場合の引継ぎ解除する場合は、他の事業者への連絡や紹介などの必要な措置を講じ、精算の方法を示す
書き方の例(一般的な例) 遅延損害金の条項
遅延損害金の率
理由消費者契約法9条1項2号は、年14.6パーセントを超える部分を無効とする。上限を超える率を書いても、超える部分は無効になるだけで、書面の信頼性を損なう
サービスの停止
理由運営基準は正当な理由のない提供拒否を禁じる。段階を踏む書き方が、基準とも民法の解除の枠組みとも整合する
家族の間で意見が割れたとき:契約者・本人・費用負担者を分ける
サービスの内容や、事業所の変更、費用の支払いをめぐって、家族の間で意見が割れる場面は少なくありません。事業所の側は、誰の意見に従えばよいのか、判断に迷います。このとき役に立つのが、次の三つを分けて考える整理です。
意見が割れたときの整理(一般的な考え方)
| 問い | 見るべきもの | 事業所の対応の方向 |
|---|---|---|
| 契約の当事者は誰か | 契約書の署名・記名、代理人の欄、立会人の欄 | 契約の当事者の意思を基本にする。家族のうち、契約の当事者でない人の意見は、参考にとどまる |
| 利用者本人の意思はどうか | 本人との面談の記録、本人が示した意向、意思を示しにくい場合の確認の記録 | 本人の意思を尊重する。意思の確認が難しい場合は、確認の方法と経過を記録する |
| 費用を負担するのは誰か | 請求書の宛先、支払口座の名義、保証人の欄 | 費用負担者が契約の当事者と違う場合でも、負担者に契約内容を決める権限が当然に生じるわけではない |
| 代理人や後見人がいるか | 代理人の資格を示す書類、後見の登記事項証明書 | 代理権の範囲内の意思表示であるかを確認する |
運営基準は、重要事項の説明の相手を「利用申込者又はその家族」とし、同意を得る相手を「利用申込者」としています(居宅基準8条1項)。つまり、家族への説明は想定されていますが、サービスの提供の開始についての同意は、利用申込者本人から得る形です。意見が割れたときに、署名欄がどう設計されていたかが、判断の出発点になります。この点は契約者は誰か(本人・家族・代理人・成年後見人)のページで整理しています。
意見が割れたときの実務上の工夫は、記録を残すことと、連絡の窓口を一本化することです。誰から、いつ、どのような意向の連絡があったかを記録し、サービスの内容に関わる変更は、本人(または代理人)の意向を確かめてから行います。家族の一人から強い要望があっても、他の家族の意見と矛盾する場合は、その場で決めず、関係者を交えた調整の場(サービス担当者会議など)で検討するのが一般的です。情報を伝えてよい家族の範囲は、あらかじめ書面で決めておくと、情報の共有をめぐる行き違いも減ります。
事業所を変えたいとき:解約と引継ぎを分けて考える
利用者が別の事業所に変えたいと考えるのは、サービスの内容、職員との相性、時間帯、費用、引っ越しなど、さまざまな理由によります。契約上は、これは利用者からの解約です。解約の通知の期間や方法を契約書でどう定めるか、解約に伴う精算の考え方は、契約解除・利用停止・提供拒否のページで整理しています。ここでは、事業所の変更に特有の引継ぎの点を挙げます。
介護保険のサービスでは、事業所の変更はケアプランの変更を伴うため、居宅介護支援事業者(ケアマネジャーの事業所)が間に入るのが通常です。障害福祉サービスでは、相談支援事業者や市町村との連絡調整があります(障害基準12条は、市町村または相談支援事業を行う者が行う連絡調整に、できる限り協力するとしています)。利用者が新しい事業所に変わるときは、これまでの事業所が持っている利用者の情報を新しい事業所に伝えることが、サービスの継続性のために必要になる場面がありますが、その場合は、運営基準が求める文書による同意が必要です(居宅基準33条3項、障害基準36条3項)。
事業所の変更に備えて、契約書・運用で整えておきたい点
- 利用者からの解約の連絡先と方法(書面、電子メール、電話と後日の書面)が契約書に書かれているか
- 解約の連絡を受けたときに、居宅介護支援事業者や相談支援事業者へ連絡する手順があるか
- 新しい事業所へ情報を提供する場合に、利用者(家族の情報を含むときは家族)から文書による同意を得る手順があるか
- 精算(提供済み分、前払い分、預かり品の返還)の方法が、料金表と契約書に書かれているか
- 記録の保存と、利用者からの開示請求への対応の窓口が決まっているか
苦情の出し先:事業所の窓口から外部の窓口まで
利用者や家族が、サービスについて不満や疑問を持ったとき、その伝え先は複数あります。運営基準は、事業者に、苦情を迅速かつ適切に受け付けて対応するための窓口を設置することと、苦情の内容を記録することを求めています(居宅基準36条1項・2項、障害基準39条1項・2項)。そのうえで、外部の窓口として、次のものがあります。
苦情の出し先の主なもの(条文上の位置づけ)
| 窓口 | 条文上の位置づけ | 留意点 |
|---|---|---|
| 事業所の苦情窓口 | 苦情を受け付けるための窓口の設置と、苦情の内容等の記録(居宅基準36条1項・2項、障害基準39条1項・2項) | 窓口の名称・連絡先・受付時間を、重要事項説明書に載せておく |
| 市町村 | 事業者は、市町村が行う調査に協力し、指導または助言を受けた場合は必要な改善を行う(居宅基準36条3項・4項、障害基準39条3項) | 介護保険・障害福祉サービスの指定や指導に関わる行政の窓口 |
| 国民健康保険団体連合会 | 介護保険の苦情について、連合会が行う調査に協力し、指導または助言に従って改善する(居宅基準36条5項・6項)。連合会の業務に、サービスの質の向上に関する調査と指導・助言がある(介護保険法176条1項3号) | 介護保険のサービスに関する苦情の外部窓口の一つ |
| 運営適正化委員会 | 社会福祉法83条により都道府県社会福祉協議会に置かれ、福祉サービスに関する苦情について解決の申出があったときは、相談に応じ、助言し、事情を調査する(同法85条)。事業者は調査またはあっせんにできる限り協力する(障害基準39条7項) | 福祉サービス全般の苦情を受ける窓口。あっせんは、申出人と事業者双方の同意を得て行う |
苦情をどう受け止め、虐待の疑いなど通報の対象になりうる場面とどうつなぐかは、虐待防止・苦情対応と契約書の書き方のページで整理しています。契約書や重要事項説明書の側では、苦情を申し出たことを理由に不利益な取扱いをしないこと、苦情の窓口が事業所の中だけではないことを、利用者に分かる形で示しておくのが整った書き方です。
書類を見直す時期と、定型約款の変更の手続
契約書や重要事項説明書は、一度作れば終わりではありません。運営規程の変更、料金の改定、法令の改正、職員体制の変更、提供するサービスの追加といった節目に、書類を見直す必要があります。見直さないまま使い続けると、書類の内容と実態が食い違い、トラブルの際に事業所の側の説明が難しくなります。
書類を見直すきっかけと、見直す書類(一般的な例)
| きっかけ | 見直す書類 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 運営規程を変更した | 運営規程、重要事項説明書、契約書、掲示物、ウェブサイト | 営業日時、利用料その他の費用、通常の事業の実施地域、緊急時の対応などの記載が全書類で一致しているか(居宅基準32条は掲示・備付け・ウェブサイト掲載を求める) |
| 料金を改定した | 料金表、重要事項説明書、契約書の料金改定条項 | 改定の通知の方法・時期、利用者の同意の取り方。保険外の費用の改定と、保険給付に関わる費用の改定は区別する |
| 法令・基準が改正された | 運営規程、契約書、同意書、プライバシーポリシー | 改正内容が自分の指定を受けているサービスに適用されるか、施行日はいつか(未施行の改正を現行として書かない) |
| 新しいサービスを追加した | 契約書、重要事項説明書、料金表 | 保険内のサービスと保険外のサービスの契約を分けているか。個別の同意書が足りているか |
| 個人情報の取扱いを変更した | プライバシーポリシー、個人情報の同意書、契約書の個人情報条項 | 利用目的の変更が、変更前と関連性を有すると合理的に認められる範囲か(個人情報保護法17条2項)。範囲を超える場合は同意が必要 |
契約書が定型約款に当たる場合(事業者があらかじめ準備した定型の条項を、不特定多数の利用者との契約に使う場合など)、条項の変更には、民法548条の4の手続が必要です。事業者は、変更が相手方の一般の利益に適合するとき、または、変更が契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により変更することがある旨の定めの有無とその内容その他の事情に照らして合理的であるときに限り、個別に相手方と合意することなく契約の内容を変更できます(同条1項)。変更するときは、効力発生時期を定め、変更する旨、変更後の内容、効力発生時期を、インターネットの利用その他の適切な方法で周知しなければなりません(同条2項)。合理性を理由とする変更は、効力発生時期が到来するまでに周知をしなければ、効力を生じません(同条3項)。
介護・福祉サービスの契約が定型約款に当たるかどうかは、契約の内容が画一的であることが双方にとって合理的かどうかによって決まります。個々の利用者の状況に応じて内容を変える部分が大きい契約書(サービスの内容、回数、時間帯を個別に決めるもの)では、約款の部分と個別の合意の部分を分けて考える必要があります。契約書の構造は契約書の全体像のページで整理しています。また、変更の周知は、利用者が高齢であったり、障害があったりすることを踏まえて、郵送や口頭での説明など、確実に届く方法を併用するのが現実的です。
契約書にない事態:入院・長期の不在・利用者の死亡
契約書を作るときに見落とされがちなのが、利用者が入院した場合、長期の不在になった場合、亡くなった場合の取扱いです。これらは頻繁に起きる事態ですが、契約書に定めがなく、現場ごとの判断になっていることがあります。
入院や長期の不在の場合は、サービスの提供ができない期間の利用料、予約済みの枠のキャンセル、再開の手続の三つを整理します。通所や訪問のサービスなら、キャンセルの扱いは契約書とキャンセル料の定めによります。入居系のサービスでは、入院中の居室の確保と利用料の取扱いが問題になります。サ高住の登録基準では、入院を理由に居住部分を変更し、または契約を解約することができないことが求められています(高齢者住まい法7条1項6号ヘ)。詳しくは有料老人ホーム・サ高住の入居契約のページを参照してください。
利用者が亡くなった場合は、契約が当然に終了する旨を契約書に書いておくのが一般的です。委任の性質をもつ契約について、民法653条1号は、委任者または受任者の死亡を委任の終了事由としています(準委任は民法656条により準用)。契約の性質によって扱いは異なりますが、契約書に「利用者の死亡により本契約は終了する」と明記し、終了日、最後の利用料の精算、預かり品の返還、居室の明渡し、情報の取扱い(死亡後の記録の保存)の手続を定めておくと、家族との間の行き違いが減ります。死亡後の事務の委任や、身元保証そのものは、このサイトでは扱いません。
事故が起きたときの連絡、記録、賠償の扱いは、事故対応と損害賠償条項のページで整理しています。事故の対応が不十分だったことが苦情やトラブルの出発点になることも多く、契約書の条項と、運営基準が求める連絡・記録を合わせて点検しておくことが、紛争を小さくします。
どのページで何を確かめるか:書類ごとの案内
トラブルの場面から、確認すべき書類とページを引くための一覧です。
場面ごとの確認先
| 場面 | まず確かめる書類・条文 | 詳しいページ |
|---|---|---|
| 書類が揃っているか分からない | 運営規程、重要事項説明書、契約書、料金表、同意書の関係 | 契約書の全体像、重要事項説明書の書き方 |
| 誰が署名してよいか分からない | 署名欄・代理人欄、代理人の資格を示す書類 | 契約者は誰か |
| 請求の内訳をめぐる行き違い | 料金表、契約書の費用条項、説明と同意の記録 | 利用料と費用の書き方 |
| 障害福祉サービスの契約支給量や受給者証 | 受給者証の記載、契約支給量の報告 | 障害福祉サービスの利用契約 |
| 身体拘束や行動の制限に関する書類 | 記録、同意書、運営規程 | 身体拘束等の禁止と契約書・同意書 |
| 事故が起きた | 事故の連絡・記録、賠償と免責の条項、保険 | 事故対応と損害賠償条項 |
| 苦情・虐待の疑い | 苦情の記録、運営規程の虐待防止の措置 | 虐待防止・苦情対応 |
| 契約を終えたい | 解除・解約の条項、精算の方法 | 契約解除・利用停止・提供拒否 |
| 情報の共有・開示請求 | 個人情報の同意書、プライバシーポリシー | 個人情報と同意書 |
| 入居契約・前払金 | 入居契約書、入居前の説明書面、前払金の算定の基礎 | 有料老人ホーム・サ高住の入居契約 |
| 電子で契約したい | 承諾の記録、同意の記録、出力できる形での提供 | 電子契約・電子同意・電子交付 |
起きがちなこと
契約トラブルの多くは、起きてから初めて契約書を開いた、という場面から始まります。平時の見直しが、起きた時の説明の負担を決めます。
起きがちなこと
- 利用料の未払いに対し、催告の記録がないまま、契約書の滞納条項を理由にサービスを止めてしまう
- 遅延損害金の率を、消費者契約法の上限(年14.6%)を超えて書いている
- 家族の間で意見が割れたとき、契約の当事者が誰かを確かめず、声の大きい家族の意向で動いてしまう
- 事業所の変更に際して、新しい事業所への情報提供に、利用者や家族の文書による同意を得ていない
- 苦情を事業所の窓口だけで終わらせ、外部の窓口があることを利用者や家族に伝えていない
- 運営規程や料金を変更したのに、重要事項説明書や契約書、掲示物が古いままになっている
- 定型の契約書を一方的に差し替え、変更の効力発生時期と変更内容を周知する手順を踏んでいない
- 利用者の死亡や入院の場合の取扱いが契約書になく、精算や居室、預かり品の扱いが現場ごとに違う
よくあるご質問
利用料が数か月滞っています。すぐに契約を解除できますか。
契約書に滞納による解除が書かれていても、民法541条の基本形は、相当の期間を定めた催告をして、その期間内に支払いがないときに解除できる、というものです。催告は書面で行い、日付と内容を記録しておきます。さらに、運営基準は正当な理由のない提供拒否を禁じているため、支払いの相談、関係機関への連絡、必要な措置といった手順を踏んだうえで、解除や停止に進むのが基本です。
遅延損害金は、年何パーセントまで定められますか。
消費者契約法9条1項2号により、消費者が支払期日までに支払わない場合の損害賠償の額の予定や違約金を定める条項は、支払期日の翌日から支払をする日までの期間について、支払うべき額に年14.6パーセントの割合を乗じて計算した額を超える部分が無効となります。契約書に定めがない場合は、民法419条により、遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率で計算されます。
家族の間で意見が違うとき、事業所はどの家族の意向に従えばよいですか。
契約書の署名欄でどの人が契約の当事者・代理人になっているか、本人の意思はどうか、費用を負担するのは誰かを分けて考えます。運営基準は、説明の相手を利用申込者またはその家族とし、同意を得る相手を利用申込者としています(居宅基準8条1項)。家族のうち契約の当事者でない人の意見は参考にとどまることが多く、本人(または代理権を有する人)の意向を確かめて、記録を残すことが基本です。
サービスへの不満は、事業所以外のどこに伝えられますか。
事業所の苦情窓口のほか、介護保険のサービスでは市町村や国民健康保険団体連合会、福祉サービス全般では都道府県社会福祉協議会に置かれる運営適正化委員会があります。運営基準は、事業者に、これらの機関が行う調査への協力や、指導または助言に従った改善を求めています(居宅基準36条、障害基準39条)。運営適正化委員会は、解決の申出があったときは相談に応じ、事情を調査し、双方の同意を得てあっせんを行うことができます(社会福祉法85条)。
契約書の内容を変更したいとき、利用者全員の同意が必要ですか。
契約書が定型約款に当たる場合は、民法548条の4により、変更が相手方の一般の利益に適合するとき、または契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、変更することがある旨の定めの有無などに照らして合理的であるときは、個別の合意なく変更できます。その場合も、効力発生時期を定め、変更する旨と変更後の内容、効力発生時期を適切な方法で周知する必要があります。定型約款に当たるかどうかは契約の内容によるため、利用者の負担や権利に関わる変更は、個別に説明して同意を得るのが安全です。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の契約への当てはめは、サービスの種類、契約書の文言、利用者の状況によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。医療や介護の専門的な判断(身体拘束の要否、ケアの内容の適否など)には立ち入りません。条文は e-Gov 法令検索(法令API)で確認した現行のものに基づき、まだ施行されていない改正は現行の内容として扱っていません。参考: e-Gov法令検索 / 厚生労働省 / 消費者庁 / 個人情報保護委員会