このページの要点
- 入居契約書とは別に、入居契約に関する重要な事項を説明する文書を用意して交付する。サ高住は契約前に書面を交付して説明する
- 権利金その他の金品の受領は禁止。名称にかかわらず、実質が前払いの対価なら前払金として算定の基礎の明示と保全が必要
- 一定期間内の解除・死亡による終了には、前払金の返還の定めが要る。「返還しない」だけの書き方は法定の定めと合わない
- 居室の移動は手続を契約の文書に明記し、入院を理由とする居室変更・解約は制限される。身元引受人欄は役割を分け、保証には極度額が要る
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の入居契約は、住まいの契約と、介護や生活支援のサービスの契約が一体になった契約です。入居する人にとっては、契約の相手方との関係が長く続く可能性が高く、費用の多くを前払いすることもあります。そのため、通常のサービス利用契約よりも、法律が契約の中身を定めている部分が多くあります。有料老人ホームについては老人福祉法、サ高住については高齢者の居住の安定確保に関する法律(以下「高齢者住まい法」)が、書類の渡し方、費用の取り方、前払金の保全と返還、契約の終了の考え方を定めています。
このページは、入居契約を作る側、あるいは入居契約書を渡されて内容を確かめる側が、どの条文を手がかりにすればよいかを整理します。結論を先に挙げると、次の五点です。第一に、入居前に渡す書面は、契約書とは別に、入居契約に関する重要な事項を説明する文書を用意する。第二に、家賃や介護等の対価として受け取る費用以外に、権利金などを受け取ることはできない。第三に、前払金は、算定の基礎を書面で明示し、保全措置を講じ、一定期間内の終了には返還の定めを置く。第四に、居室の移動や、入院を理由とする解約には、契約書に手続や制限を明記する。第五に、身元引受人の欄は、何を保証してもらうのかを分けて書き、金額の上限(極度額)を定める。なお、ケアの内容の適否や、入居の可否についての専門的な判断には立ち入りません。
どの法律が入居契約の書類を決めるのか
まず、自分の施設がどの枠組みに入るのかを整理します。同じ「高齢者向けの住まい」でも、法律上の位置づけが違うと、必要な書類や手続が変わります。
高齢者向けの住まいと、書類を決める主な法律
| 類型 | 中心になる法律 | 契約・書類に関わる主な定め |
|---|---|---|
| 有料老人ホーム | 老人福祉法29条 | 設置前の届出(1項)、入居者への情報の開示(7項)、権利金等の受領の禁止(8項)、前払金の算定基礎の書面明示と保全(9項)、前払金の返還の契約(10項) |
| サービス付き高齢者向け住宅(登録) | 高齢者住まい法5条〜7条、17条、18条 | 都道府県知事の登録(5条)、登録基準としての入居契約の内容(7条1項6号)、契約締結前の書面の交付と説明(17条)、生活支援サービスの提供(18条) |
| 特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設(介護保険) | 居宅基準178条 | 入居申込者または家族への文書による説明、入居と介護サービスの提供に関する契約を文書で締結、入居者の権利を不当に狭める解除条件の禁止、介護居室等への移行の手続を契約の文書に明記 |
一つの施設が、有料老人ホームであり、サ高住として登録され、かつ特定施設の指定も受けている、ということもありえます。高齢者住まい法5条1項は、サ高住の登録の対象に、有料老人ホームであって居住の用に供する専用部分を有するものを含めています。この場合、複数の法律の定めが重なるため、入居契約書が、すべての定めを満たしているかを順に点検する必要があります。そのうえで、運営の実態(住まいの部分を賃貸借とするのか、施設の利用権とするのか、介護サービスを自ら提供するのか、外部に委託するのか)に合わせて、契約書の組み立てを決めます。賃貸借か利用権かの整理は、契約書の組み立て方によって変わる論点であり、ここでは一般的な枠組みを示すにとどめます。
入居前に渡す書面:情報の開示と契約締結前の書面
有料老人ホームの設置者は、入居する人または入居しようとする人に対して、介護等の内容その他の厚生労働省令で定める事項に関する情報を開示しなければなりません(老人福祉法29条7項)。省令で定める事項の中身は、老人福祉法施行規則20条の8が、届出事項の一つである「入居契約書及び設置者が入居を希望する者に対し交付して、施設において供与される便宜の内容、費用負担の額その他の入居契約に関する重要な事項を説明することを目的として作成した文書」(20条の5第16号)に当たる事項としています。開示の方法は、書面の交付です(20条の7)。
つまり、有料老人ホームでは、入居契約書と並んで、入居契約に関する重要な事項を説明するための文書(一般に重要事項説明書と呼ばれる文書)を用意して、入居を希望する人に交付する必要があります。介護保険の特定施設の指定を受けている場合は、居宅基準178条1項が、運営規程の概要、従業者の勤務の体制、利用料の額およびその改定の方法その他の重要事項を記した文書を交付して説明することを求めています。重要事項説明書の中身の作り方は重要事項説明書の書き方のページで整理しています。
サ高住では、登録事業者が、登録住宅に入居しようとする人に対し、入居契約を締結するまでに、登録事項その他の国土交通省令・厚生労働省令で定める事項を記載した書面を交付して説明しなければなりません(高齢者住まい法17条1項)。書面の交付に代えて、入居しようとする人の承諾を得て、電磁的方法により提供することもできます(同条2項)。電子での提供の考え方は電子契約・電子同意・電子交付のページで整理しています。
基準・法令入居前の書面についての主な定め
- 老人福祉法29条7項
- 有料老人ホームの設置者は、入居する者または入居しようとする者に、介護等の内容その他の厚生労働省令で定める事項に関する情報を開示する
- 老人福祉法施行規則20条の7・20条の8・20条の5第16号
- 開示は書面の交付で行い、事項は「入居契約に関する重要な事項を説明することを目的として作成した文書」に当たるもの
- 高齢者住まい法17条1項・2項
- 登録事業者は、入居契約を締結するまでに、登録事項その他の事項を記載した書面を交付して説明する。入居しようとする者の承諾を得て、電磁的方法による提供もできる
- 居宅基準178条1項
- 特定施設入居者生活介護の事業者は、あらかじめ、入居申込者またはその家族に、重要事項を記した文書を交付して説明し、入居と介護の提供に関する契約を文書により締結する
有料老人ホーム情報(介護等の内容や運営状況)は、設置者が都道府県知事に報告し、知事が公表します(老人福祉法29条11項・12項)。公表される内容と、入居希望者に交付する書面の内容が食い違わないようにします。
費用の構造:権利金の禁止と、前払金の算定の基礎
有料老人ホームの設置者は、家賃、敷金、介護等その他の日常生活上必要な便宜の供与の対価として受領する費用を除くほか、権利金その他の金品を受領してはなりません(老人福祉法29条8項)。「入居金」「協力金」「入会金」といった名称は、法令上の根拠にはならず、実質的に何の対価なのかが問われます。サ高住についても、登録基準として、敷金、家賃等、家賃等の前払金を除いて権利金その他の金銭を受領しない契約であることが求められています(高齢者住まい法7条1項6号ハ)。
一方、終身にわたって受領すべき家賃その他の費用を、前払金として一括で受領する設置者は、前払金の算定の基礎を書面で明示しなければなりません(老人福祉法29条9項)。施行規則20条の9は、この前払金の対象を、入居一時金、介護一時金、協力金、管理費、入会金その他いかなる名称であるかを問わず、家賃または施設の利用料、介護、食事の提供その他の日常生活上必要な便宜の供与の対価として受け取るすべての費用(家賃の六月分を上限とする敷金を除く)としています。つまり、名称を変えても、実質が将来の家賃やサービスの対価の前払いであれば、前払金としての規制の対象になります。サ高住でも、家賃等の前払金を受け取る場合は、算定の基礎と、返還債務が生じる場合の金額の算定方法を契約で明示することが求められます(高齢者住まい法7条1項6号ニ)。
確認費用の書き方を点検するときの問い
入居時に受け取る費用が、何の対価なのかを、契約書か説明書で名称ごとに説明しているか。
権利金その他の金品を受け取ることは禁止されている。名称が違っても、実質が家賃やサービスの対価の前払いなら前払金の規制に入る
前払金の算定の基礎(何か月分の家賃等をどのような想定で前払いするのか)を、書面で示しているか。
算定の基礎の書面での明示は、設置者の義務(老人福祉法29条9項)
月々の費用(家賃、管理費、食費、介護サービスの自己負担、保険外の費用)の区分が、料金表で分けられているか。
区分の考え方は利用料と費用の書き方のページで整理している。保険給付の自己負担と保険外の費用が混ざると、説明の同意が曖昧になる
敷金を受け取る場合、その上限の考え方が契約書と合っているか。
前払金の対象から除かれる敷金は、家賃の六月分を上限とする(施行規則20条の9)
前払金の保全と、契約が終わったときの返還
前払金は、入居者が先に支払うお金なので、設置者が支払不能になったときに戻らなくなるおそれがあります。老人福祉法29条9項は、前払金について返還債務を負うこととなる場合に備えて、厚生労働省令で定めるところにより必要な保全措置を講じなければならないとしています。施行規則20条の10は、前払金に係る銀行の債務の保証その他の厚生労働大臣が定める措置を講じなければならないとしています。保全措置を講じたことを証する書類は、届出事項の一つでもあります(施行規則20条の5第12号)。
次に、返還の定めです。老人福祉法29条10項は、前払金を受領する場合に、入居した日から厚生労働省令で定める一定の期間を経過する日までの間に、契約が解除され、または入居者の死亡により終了したときは、前払金の額から省令で定める方法により算定される額を控除した額に相当する額を返還する旨の契約を締結しなければならないとしています。施行規則21条は、この「一定の期間」を次のように定めています。
返還の定めが必要な期間(老人福祉法施行規則21条)
| 終了の時期 | 規則が定める期間 | 返還額の算定 |
|---|---|---|
| 入居後三月が経過するまでの間に、契約が解除され、または死亡により終了した場合 | 三月 | 家賃等の月額を三十で除した額に、入居の日から終了した日までの日数を乗ずる方法で算定した額を、前払金の額から控除した額を返還(同条2項1号) |
| 入居後、前払金の算定の基礎として想定した入居期間が経過するまでの間に、契約が解除され、または死亡により終了した場合(上の場合を除く) | 当該想定した入居期間 | 日割計算によって算出した家賃等の金額を、前払金の額から控除する方法(同条2項2号)。控除の対象となる期間の読み方は、条文で正確に確認する |
契約書を作る側にとって大事なのは、この法定の返還の定めを、契約書に具体的に落とし込むことです。たとえば、契約書に「解約した場合、前払金は返還しない」「初期償却として一定割合を差し引く」と書く場合、それが法定の返還の方法と矛盾していないかを確認します。また、消費者契約法9条1項1号は、解除に伴う損害賠償の額の予定や違約金の条項について、同種の契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分を無効としています。初期償却や返還しない部分の定めは、この観点からも説明できる必要があります。
書き方の例(一般的な例) 前払金の返還条項
返還の範囲
理由老人福祉法29条10項は、一定期間内の終了の場合の返還を契約で定めることを義務づける。返還しない旨だけの書き方は、この義務と合わない
初期償却
理由初期償却が何の対価なのかが不明確だと、権利金の禁止(29条8項)や、算定の基礎の明示(同条9項)との関係で説明できなくなる
返還の時期
理由返還の時期や方法が不明確だと、入居者の家族との間で、精算をめぐる行き違いが生じやすい。具体的な日数を書く
居室の移動・介護居室への移行・入院の取扱い
入居契約で、あとからトラブルになりやすいのが、居室の移動と入院の扱いです。入居した居室から、より介護の手厚い居室へ移る場合や、入院した場合に居室がどうなるかは、入居者の生活の根幹に関わります。
特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設では、より適切なサービスを提供するため利用者を介護居室または一時介護室に移して介護を行うこととしている場合には、利用者がそれらの居室に移る際の、その利用者の意思の確認などの適切な手続を、あらかじめ契約に係る文書に明記しなければなりません(居宅基準178条3項)。つまり、移動のルールを契約書に書かない、あるいは「事業者の判断で移動できる」とだけ書くことは、基準が求める形ではありません。
サ高住では、登録基準として、入居者の病院への入院その他の国土交通省令・厚生労働省令で定める理由により、事業者が居住部分を変更し、またはその契約を解約することができないものであることが求められています(高齢者住まい法7条1項6号ヘ)。入院を理由に、居室を一方的に変更したり、契約を解約したりすることはできない、という趣旨です。登録事業者は、入居契約に従って高齢者生活支援サービスを提供しなければなりません(18条1項)。
書き方の例居室の移動に関する条項(書き方の一例)
- 事業者は、入居者の心身の状況の変化により、より適切なサービスを提供するため、入居者を別の居室(介護居室または一時介護室を含む)へ移すことがある。
- 事業者は、前項の移動を行う場合、あらかじめ、入居者本人の意思を確認し、入居者およびその家族等に対し、移動の理由、移動先の居室の内容、費用の変更の有無を説明する。入居者が意思を示すことが困難な場合は、入居者の意思の確認の方法を、別に定める手続による。
- 事業者は、前項の確認および説明の内容を記録し、入居者またはその家族等の求めに応じて、これを示す。
- 事業者は、入居者が病院へ入院したことを理由として、居室を変更し、または本契約を解約しない。入院中の居室の確保および利用料の取扱いは、別表のとおりとする。
入居者の意思の確認の方法や、意思を示すことが困難な場合の手続は、施設の運営や、後見人などの関与の有無によって異なります。署名や同意の設計は契約者は誰かのページで整理しています。
居室の移動に関しては、一時的な居室への移動が、結果として入居者の行動の自由を制限する形になる場合もあります。その場合の記録や適正化の考え方は、身体拘束等の禁止と契約書・同意書のページで扱っています。
退去・解除と、契約の終了
特定施設入居者生活介護の事業者は、入居契約において、入居者の権利を不当に狭めるような契約解除の条件を定めてはなりません(居宅基準178条2項)。有料老人ホームやサ高住でも、契約書の解除条項は、入居者の生活の場を失わせるものである以上、一般のサービス契約より慎重に書く必要があります。解除の事由、催告の手順、猶予期間、他の施設への移行の支援は、契約解除・利用停止・提供拒否のページで条文の枠組みを整理していますので、ここでは入居契約に特有の点だけを挙げます。
入居契約の終了について、点検したい点
- 事業者からの解除事由が、利用料の滞納、重大な契約違反、他の入居者や職員に危害を加えるおそれなど、具体的な行為に分かれているか
- 解除の前に、催告と、相当の猶予期間が置かれているか。「事業者が必要と認めたとき」だけの解除事由になっていないか
- 入居者の心身の状況の変化(認知症の進行など)だけを理由とする包括的な解除事由を置いていないか(成年後見の開始のみを理由とする解除条項の無効は消費者契約法8条の3)
- 入居者からの解約について、予告期間が不当に長くなく、入院や死亡の場合の例外が書かれているか
- 死亡により契約が終了する旨と、居室の明渡し、残置物の取扱い、精算の方法が書かれているか
- 契約が終了したときの前払金の返還と、居室の明渡しの期限の関係が整理されているか
契約の終了のうち、入居者の死亡による終了は、入居契約では必ず想定すべき場面です。契約書に、死亡によって契約が終了すること、終了の日、居室の明渡しの期限、前払金の返還の計算の基準日が書かれていないと、家族との間で精算のやり取りが滞ります。前払金の返還の計算は、老人福祉法29条10項が、入居者の死亡により終了した場合も対象にしている点が重要です。死亡後の事務の委任や身元保証のサービスそのものは、このページでは扱いません。
身元引受人の欄:何を引き受けてもらうのかを分けて書く
入居契約書には、「身元引受人」「連帯保証人」「緊急連絡先」といった欄が設けられることが多く、一つの欄に複数の役割が詰め込まれがちです。ここで整理しておきたいのは、欄に署名した人が、法律上、何の責任を負うことになるのか、という点です。
入居者の利用料や賠償金の支払いを保証してもらう場合、これは保証契約です。期間や金額が確定していない、一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約で、保証人が法人でないもの(個人根保証契約)は、極度額(保証人が責任を負う上限額)を定めなければ、その効力を生じません(民法465条の2第2項)。極度額は、書面(または電磁的記録)で定める必要があります(同条3項により準用される民法446条2項・3項)。入居契約で、将来にわたる利用料や賠償金の支払いを保証する形で身元引受人を置くなら、極度額の定めのない保証は、効力を生じないことになります。
身元引受人の欄に含められがちな役割と、書面での整理
| 役割 | 法的な性質 | 書面で整えること |
|---|---|---|
| 利用料・賠償金の支払いの保証 | 保証契約。個人が保証人の場合は、極度額の定めがなければ効力を生じない(民法465条の2第2項) | 保証する債務の範囲、極度額、保証人への情報提供の手続を書面で定める。署名欄を分ける |
| 緊急時の連絡先 | 連絡を受ける役割。保証とは別 | 連絡先の氏名・電話番号・連絡の優先順位。保証人の欄と別にする |
| 入居者の意思の確認や、面会、同意の場面での関与 | 契約上の役割(代理権があるかどうかは別問題) | 家族として関与する範囲を書く。代理人としての署名と区別する(契約者は誰か) |
| 退去時の居室の明渡しへの協力 | 契約上の協力義務 | 協力の内容(立会い、荷物の引取りなど)と期限を書く。保証債務とは分けて記載する |
これらを一つの「身元引受人」欄にまとめて署名させると、署名した人が、どこまでの責任を引き受けたつもりだったのか、事業者がどこまでの責任を求められると考えていたのか、のずれが生じやすくなります。入居者に保証人がいない場合も想定して、保証人を立てることを入居の条件にするのか、しないのかも、契約書の設計の一部です。また、入居者の個人情報や家族の情報の取扱いは個人情報と同意書のページと整合させます。
起きがちなこと
入居契約は、金額が大きく、期間が長く、入居者の生活そのものに関わるため、書類の不備や食い違いが、トラブルの際に大きな負担になります。特に、書類が複数ある施設では、それぞれが違う時期に作られ、細部が合わなくなっていることがあります。
起きがちなこと
- 入居契約書はあるが、入居契約に関する重要な事項を説明する文書が用意されていない、または契約書と費用の数字が合っていない
- 「入居金」「協力金」などの名称で費用を受け取り、何の対価なのか、前払金の規制の対象かどうかが整理されていない
- 前払金の返還について、一定期間内の終了の場合の返還の定めがなく、「返還しない」とだけ書かれている
- 居室の移動が「事業者の判断で行う」とだけ書かれ、入居者の意思の確認の手続が契約の文書に明記されていない
- 入院したことを理由に居室を変更する、または契約を解約できるかのような書き方になっている
- 身元引受人の欄に、保証、緊急連絡、同意の立会い、明渡しの協力がまとめて書かれ、保証の極度額が定められていない
- 運営規程、重要事項説明書、契約書、公表されている運営状況の情報で、費用や職員体制の数字が食い違っている
よくあるご質問
有料老人ホームの入居金は、いつまでなら返してもらえますか。
老人福祉法29条10項は、前払金を受け取る設置者に、入居した日から省令で定める一定の期間内に契約が解除され、または入居者の死亡により終了した場合に、前払金の額から省令の方法で算定した額を控除した額を返還する契約を結ぶよう求めています。同法施行規則21条は、この期間を、入居後三月が経過するまでの間と、前払金の算定の基礎として想定した入居期間が経過するまでの間に分けて定めています。実際の返還額は、契約書と重要事項説明書の定めによるため、算定の基礎を示した書面を確認する必要があります。
入居金のほかに、「協力金」や「入会金」を取ることはできますか。
有料老人ホームの設置者は、家賃、敷金、介護等その他の日常生活上必要な便宜の供与の対価として受け取る費用を除いて、権利金その他の金品を受け取ってはなりません(老人福祉法29条8項)。名称が「協力金」「入会金」でも、実質が家賃や施設の利用料、介護や食事などの対価の前払いであれば、前払金としての規制(算定の基礎の書面での明示、保全措置、返還の契約)の対象になります(同法施行規則20条の9)。
入院したら、居室を明け渡さなければなりませんか。
契約書の定めによりますが、サ高住の登録基準では、入居者の入院その他の省令で定める理由により、事業者が居住部分を変更し、または契約を解約することができない契約であることが求められています(高齢者住まい法7条1項6号ヘ)。有料老人ホームについても、入居者の権利を不当に狭める解除条件は、特定施設では定められません(居宅基準178条2項)。入院中の居室の確保や、利用料の取扱いは、契約書か料金表に具体的に書かれているかを確認します。
身元引受人になってほしいと言われました。何でも引き受けることになりますか。
「身元引受人」の欄に何が含まれているかによります。利用料や賠償金の支払いを保証する内容であれば、保証契約となり、個人が保証人になる場合は極度額(上限額)の定めがなければ効力を生じません(民法465条の2第2項)。緊急時の連絡先としての役割や、居室の明渡しへの協力は、保証とは別の役割です。署名する前に、欄の見出しや本文で、何を引き受ける内容なのかを確認し、役割ごとに分けて書かれているかを確かめる必要があります。
サービス付き高齢者向け住宅の契約でも、重要事項説明書のような書面が必要ですか。
登録事業者は、登録住宅に入居しようとする者に対し、入居契約を締結するまでに、登録事項その他の国土交通省令・厚生労働省令で定める事項を記載した書面を交付して説明しなければなりません(高齢者住まい法17条1項)。入居しようとする者の承諾を得て、書面の交付に代えて電磁的方法で提供することもできます(同条2項)。この書面と入居契約書の内容が食い違わないようにしておく必要があります。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の契約への当てはめは、サービスの種類、契約書の文言、利用者の状況によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。医療や介護の専門的な判断(身体拘束の要否、ケアの内容の適否など)には立ち入りません。条文は e-Gov 法令検索(法令API)で確認した現行のものに基づき、まだ施行されていない改正は現行の内容として扱っていません。参考: e-Gov法令検索 / 厚生労働省 / 消費者庁 / 個人情報保護委員会